「杉田水脈氏発言は問題か?」

杉田水脈氏発言は問題か?」

毎日新聞は21日、週刊新潮45の8月号に杉田水脈衆議院議員(自民党比例中国ブロック)が、寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」を問題視した記事を掲載した。果たして、毎日新聞の問題視と批判は適切だろうか?

毎日新聞の大村健一記者の主張は以下だ。「性的少数者のみならず高齢者や子のない夫婦も否定するかのような内容で、批判が広がっている(https://mainichi.jp/articles/20180722/k00/00m/040/028000c)という内容だ。

実際、週刊新潮45を購入してみた。杉田水脈氏の主張は以下だ。
朝日新聞毎日新聞などリベラルメディアが権利の確保を謳い差別の解消を唱えているが、本当にLGBT差別は存在するのか?
②日本でLGBT差別が問題になっているのか?そもそも日本は、同性愛を禁忌とするキリスト教社会やイスラム社会のように、時に命を失うような迫害は起こってこなかった。社会構造そのものが違う。
LGBT当事者の被害事例は社会的差別よりも、親の無理解が大きい。
④当事者の問題は制度を変えることでは解決し得ない。こうした社会制度と「生きづらさ」を行政が解決することは否定しないが、行政が動くことは税金の使用を意味する。また、不妊治療のケースとは異なり、LGBTカップルに税金を利用する大義名分は何処で大多数の国民は納得するのか?

という以上、前段の内容が毎日新聞が過度に批判にさらされている。しかし、実際には、税金の利用で、大多数の国民から理解が得られるのか?と言い政治学の定石である功利主義の最大多数の最大幸福の観点から、疑問を呈しているに過ぎない。

杉田水脈氏の発言は、公器である新聞で五大紙の毎日新聞が、目くじらを立てて批判する内容かと言われると大いに疑問符が付く。功利主義に基づく政治学の常識を話しており、政治学者Dリースマンは、「政治とは希少資源の再配分」と定義しており、税金の観点に国会議員がシビアになるのは当然だろう。この時点で、毎日新聞の批判はイデオロギーに拘泥しており、批判に該当し得ない。

ただ、毎日新聞の批判は妥当性がないのは言うまでないが、杉田水脈議員の発言が全く問題ないとは言えない。私が思う問題点は、③における事実誤認と④の前段による内容にある。

杉田水脈氏が主張するLGBTの問題点は、家庭内における親の無理解という当事者と家族の問題だろうか?私は絶対に違うと思う。それは、2015年4月に一橋大学法科大学院生が、ゲイであることをバラされて自殺に至った(一橋大学アウティング事件)のように、当事者と家族の問題だけでは済まないことが周知の事実となった。こうした問題を受けて④の朝日新聞毎日新聞が、LGBTの権利拡大を歌い、差別解消を唱えることには、社会的利益と正義の片鱗はある。とはいえ、今回のピンボケした毎日新聞の批判は肯定し得ないことは再度強調しておく。
少なくとも、杉田水脈氏が主張する③は事実として間違っている。当然、事実誤認から派生する④も誤りで、一橋大学は国公立の大学で独立行政法人である以上は、一定の範囲で解決は税金で解決を図る他仕方ない。

以上から結論を述べると、毎日新聞杉田水脈氏へのピンボケ批判は妥当性を欠いている。しかし、一方で杉田水脈氏が主張するLGBT問題は、当事者と親の無理解程度では済まず既に一橋大学法科大学院生の人命が損なわれる社会問題となっている。なので、当然③と④は誤りで、杉田水脈氏の楽観的な主張である①の日本でLGBT問題がストレートにカミングアウトできるのか?という主張には大いに疑問符が付かざるを得ない。f:id:yuukiboubiroku:20180722190809j:image