グリッドマン最終回

「SSSS.GRIDMAN」

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平成最期の天皇陛下誕生日、疲れて爆睡し何かに呼ばれるように深夜に目を醒ますと、Twitterのトレンドワードは、あのロシアW杯MVPゴールデンボール賞に輝いたクロアチア代表🇭🇷モドリッチを抜いて「グリッドマン」「SSSS.GRIDMAN」が抑えた。いつも再放送をAmazon primeで視聴していたが、最終回ということもあり途中視聴することに。

さて、グリッドマンを知らない人もいるので説明すると。ウルトラマンで有名な円谷プロ30周年企画で1993年1月8日から翌年94年まで放送された特撮テレビ番組だ。当時、小学校1年生だった自分は土曜日の塾から帰ったらテレビ前に張り付くのが恒例だった。インターネット世界観と怪獣の戦いという時代を先取りした斬新な作品だが、商戦で失敗して打ち切りとなったが、コアなファン層を獲得したことで根強い人気を誇る。最終回視聴率は9・6%と約10%を獲得するなど子供がまだまだ元気で、新生児が100万人を切り96万人という数字を出した2018年には考えられない時代だった。

そんな電光超人グリッドマンが、26年ぶりにアニメーションで復活した。そのタイトルが、SSSS.GRIDMAN(以下、アニメグリッドマン)だ。大学の後輩から「おもしろい」と連絡があり、毎週、Amazon primeで視聴していた。

なぜ、アニメグリッドマンは成功したのか?その秘訣は、当初の企画だった大人モノから電光超人グリッドマン同様の子供向け作品に手直ししたことにあるように思う。聖書でイエスが言う「カエサルものはカエサルに」と言いように、当時の子供も含めて子供に返したのが正解だろう。観ている層は、明らかに当時理解できるか怪しい小学1年生の自分ですら30代で幼稚園、それ以上の年齢でもちょうど30歳でそれ以上はアラフォーとなっている。そこの層には哲学的なメタファーで察することを要求する作品だが、最終話12話だけが明らかに当時子供だった世代へ向けた内容となっている。虚構と現実というシン・ゴジラで話題になったキャッチフレーズだが、まさにウルトラマン以降の円谷プロの醍醐味が天長節に炸裂した。

アニメーションは、トリガーが担当。キルラキラで女性層からの人気も博したトリガーだけに期待していた。アニメーションやOPのカットが美しいと形容するしかない。そんな動くグリッドマンを、90年代を席巻した勇者シリーズ大張正己が描くのだから戦闘シーンや合体シーンは90年代そのもので古き良き平成初頭アニメーションが平成最後に見られる訳で、これに歓喜しない子供“大人“はいない。

そして迎えたアニメグリッドマン最終回。グリッドマンが活躍する世界が、徐々に現実の世界ではなく、電脳(この言葉が既にノスタルジー)ないしコンピュータワールドで作り物であることが明かされて行く。この世界は、高校生の新条アカネが神様としても作り出した世界で打ち切りとなった電光超人グリッドマン続編を、そのまま踏襲した内容となっている。
電光超人グリッドマンが、アレクシス・ケリブに敗れてSSSSグリッドマンをはじめ新世紀中学生など6つの存在に分かれて、当のグリッドマンも響裕太に宿ったという複雑な展開となっている。
最終回では、トリガー作品らしく、大団円で新条アカネにカッターナイフで刺された響裕太がグリッドマンとして目覚め、アレクシスに怪獣にされたがアンチことグリッドマンナイトに救出された後、アレクシスに吸収されたアカネを助けるために合体して本来のグリッドマンに戻るという演出で26年ぶりに電光超人グリッドマンの姿がアニメーションに復活する。その時の変身シーンは、従来の「アクセス・フラッシュ」から93年当時の「アクセース・フラーッシュ」という如何にも当時風に再現されてオッサンとオバさんを深夜26時に狂喜乱舞させる怪演を遂げた。しかも登場シーンでは、「夢のヒーロー」坂井紀雄が流れたことでTweetが懐古厨に埋め尽くされた。とんでもない原作への敬意を感じる作品となった。

スタッフから感じるグリッドマン愛。新条アカネを取り込んだことで無限の命と無限のエネルギーを有するアレクシスには、有限で命と限界があるグリッドマンでは差が明白だった。90年代の技を駆使するも再生するアレクシスに対して、相手を破壊する技ではなく、癒しと再生をもたらすフィクサービームを放つという当時懐かしの戦闘シーン後にコンピュータワールドを治す演出が26年ぶりにスクリーンを通して映し出される。しかも26年前の設定で「現実世界や人間の心を浄化することも可能」なんてチート設定が、そのまま再現されることになった。どこまでスタッフの愛が深い作品なのかと驚嘆した。どうせ、ここまで今の深夜アニメを観ている高校生や大学生には、絶対に分かりっこない演出を、これでもか、と流し続けるスタッフに脱帽した。僅か12話だが本当に続編なんて不要なくらい綺麗に終わった。

最期にヒロインの宝多六花に別れを告げて現実世界で目を醒ます新条アカネ。グリッドマンフィクサービームにより世界そのものが浄化された。アレクシスを捕縛したことで、この世界に存在は不要と語り、目覚めない裕太を六花、内海将に託して別れの言葉を告げて去る。

全てのアニメーションとEDが終わり、最後に現実世界で人間版の新条アカネが目覚めるというメタファーは、最終話タイトルの「覚醒」に隠喩されており、1話タイトル「覚醒」からの大きな伏線回収となった。26年の時を経てグリッドマンがクリスマスに返ってきた。
近年では、アニメゴジラをはじめ、後味の悪い最期を迎える厭世的なアニメが人気となった。民主党政権円高不況、自殺率が高い時代だけに今思えば負の遺産とも言える禍々しい時代。そんな鬱蒼とした時代とは別に、大団円で誰もがハッピーエンドを迎えるも道徳的な夕方5時の子供向け番組を完全に、リバイバルした意義は大きい。そうした大人のメッセージは、今の子供や当時子供だった大人に必ず届いただろう。なぜなら、Twitterトレンドランキング1位が「グリッドマン」なのだから。