「源氏でわかる古典常識レビュー」

「源氏でわかる古典常識レビュー」

源氏物語は、竹取物語・宇津保物語・落窪物語など幻想的な娯楽の伝奇物語と伊勢物語・大和物語・平中物語など和歌を中心に構成された歌物語の影響を受けて、約1000年前の平安中期に紫式部により作成された世界最古の恋愛小説。54帖に及ぶ大長編で3部構成。1部は光源氏の誕生から青年期(33帖)、2部は光源氏の晩年(41帖)、3部は源氏の子(実は柏木の子)の薫に悲恋(54帖)で45帖以下が「宇治十帖」である。この物語を見て江戸時代国学者本居宣長は「もののあわれ」と名付けた。

男なら憧れを抱く、光源氏の物語。光源氏の物語には、男の浪漫全てが詰まっている。桐壺帝と桐壺更衣の間に東宮(皇太子)候補として産まれるが夢占で「臣籍降下」となるが、殿上人の五位に就くが、実子冷泉帝に六条御息所の子である梅壺が入内し中宮となり太政大臣に出世する。また、左遷先の明石でもうけた明石の姫が東宮への入内し架空の地位である准太上天皇となり皇族の地位に帰り咲くという出世街道と、光源氏のモデルとなった藤原道長源融といわれており摂関家摂政という外戚の地位が如何に重要かを物語っている。

源氏物語は皇室と貴族文化など国史を現代に紐解いてくれる。当時の文化である一夫多妻制度と妻問婚、御簾から見る垣間見、相手へ寄せた想いの文である懸想文、和歌の教養が恋愛の命運をわける、後朝の文、三日夜の餅、所顕しなど女の下に男が三日間通う慣習など。また、寝殿造りの定義に始まり、正妻の住む北の対(北の方、北の政所)、女性専用の出口の北の門、束帯、女房装束、宿直装束という貴族文化を教えてくれる。さらに、天皇陛下が儀式を行う紫宸殿、私生活を送る清涼殿に皇后や妻が住む後宮で弘徽伝と藤壺、殿上の間、昼の御座、夜の御殿など国史と皇室を理解する上の基f:id:yuukiboubiroku:20170304230433p:image礎知識を物語を通して学べる。

源氏物語は、人の儚さ全てが詰まった物語である。儚いが故に物語は美しいのだと教えてくれる。

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