「マンガで読む嘘つき中国共産党レビュー」

中国亡命漫画家の辣椒こと王立銘が、共産党独裁中国の現状を風刺漫画で痛快に描く。

1章「激辛の唐辛子」
変態辣椒の変態は中国ではスーパーの意味。中国では腐敗役人を「老虎」と呼ぶ。万里の長城ことグレートファイヤウォールで大飢饉天安門などは検閲対象。微博による監視強化。毛沢東を可愛く描くと処罰。パンダは1850頭中国にいるが風刺漫画家10人以下。また、中国の警察に逮捕されることを中国では「お茶」すると表現する。さらに、中国では包丁一本の購入さえ登録制。

2章「その熊猫、凶暴につき」
日本と警察の違いは、政治警察。鄧小平の「安全は全てを圧倒する」と宣言し軍事力で人民を抑える。政治警察を「熊猫(パンダ)」と呼ぶ。この政治警察は、国家安全部、国内安全保衛、ネット言論弾圧の網絡安全保衛に分類される。中国警察は経費で煙草まで購入し日本の公務員の清廉潔白に著者は驚いた。また、両会期間中は性風俗店の取締、包丁購入の身分証明、鳩禁止などまで様々。

3章「熊猫の撃退法」
熊猫に喝茶に呼ばれ際に、携帯番号をネットにアップして集団で批判する撃退法。また、変革すれば「お礼してやる」という言葉を1番怖れるとのこと。

4章「現代の皇帝・習近平
習近平の権力は鄧小平に及びつつある。著者は習近平の終身皇帝化を懸念。習近平父親は、中国共産党の八大老の一人で習仲勲。しかし、習近平父親は、反党小説「劉志丹」で失脚し文化大革命で迫害を受けて習近平の姉が自殺。江沢民が後継者として選択した。奥さんは中国版紅白の常連歌手で彭麗媛、娘はハーバード大学に留学した習明沢。
5章「ネット独裁者」
2002年に万里の長城ことGFWで国際社会と文明から隔離された。100年前の清朝人のように愛国心で対米、対日を叫ぶ若者とネットに危惧。

6章「恐るべきマトリクス」
映画マトリクスと同じ洗脳。資本主義は困窮と教育で教わるが、実は中国こそが困窮と知る。天安門事件で窮した江沢民は、愛国教育で怒りの矛先を共産党外に向けることにした。

7章「抗日神劇のウラ」
中国ドラマの半分が抗日劇。抗日劇に限りエログロが許されており、他のドラマの表現規制が厳しい反動。抗日劇を見た老人は嘆く、「戦場では一人の日本兵を倒すのも大変だった」と。ネットでは荒唐無稽な作品を「抗日神劇」と揶揄する。

8章「抗日映画の憂鬱」
徐紀周は史実を踏まえた作品を作り、日本軍の勇猛さと中国軍の臆病さを描いた。この脚本は80ヶ所修正された。他にも、陸川は双方の視点から描いた「南京!南京!」は中国で干されて日本では未公開となった。

9章「ファシストは誰か?」
SEALDsの奥田愛基を揶揄して、安倍総理ヒトラーファシストと評する団体を批判し集団的自衛権を中国、台湾、韓国が持つことを述べる。中国共産党の独裁が如何に苛烈かを菅直人で描き仮装日本の独裁下を描く。

10章「辣椒、台湾へ行く」
道教の祠が台湾にはあるが中国では共産党が全て破壊した。習近平でさえ偏向の歴史を知らず大日本帝国が降伏したのが中華民國で共産党ではない事実に国家主席ですら知らないことに重鎮は青ざめたとか。1987の蒋経国民主化と鄧小平の1989の天安門分水嶺を分けた。

11章「春節聯歓挽会の政治学」(前編)
中国は新暦とは別に旧暦があり2月にある。日本の紅白の模倣で春節聯歓晩会がある。1986年に習近平は、参加していた彭麗媛と結婚。江沢民の愛人も同じ番組の宋祖英。

12章「同」後編
春晩は中国共産党の洗脳装置。春晩には宇宙飛行士などが登場する。日本ではノーベル賞の山中氏が2014年の紅白に参加したが、中国ではノーベル平和賞2010の劉曉波は監獄行きである。また、戦勝70周年パレードで使用された曲「鉄血忠誠」は米国製ゲーム「レッドアラート3」でソビエトマーチという共産主義帝国主義という風刺。

13章「人民解放軍の内幕」(前編)
中国には、中央軍事委員会が二つあり共産党と人民共和国にある。メンバーは双方同じ。これは人民解放軍共産党の側に立つという意図。人民解放軍の仮想敵国は、日本、アメリカ、台湾ではなく自国人民でチベットポタラ宮殿事件。中国は事実上の志願制。また都市戸籍農村戸籍に別れており、農村戸籍は3Kの仕事。

14章「同」(後編)
人民解放軍と武装警官がおり、2つの制服がある。第3の制服は暴徒に紛れ込んで弾圧の引き金を引く。中国の戦車には「治暴平乱人人有責」とあり、暴動は鎮圧し個々の責任を問うぞ、と。

15章「わたしはなぜ戦うか」
母親の死目にも国外追放で出れなかった著者。著者の家族は共産党の政策に振り回された。1960年の大躍進失敗で毛沢東による都心の若者を辺境に送り込む政策で著者の親は新疆ウィグルに送られて結婚した。上海に戻るも、親子で過ごした時間は短く著者の母親は癌で亡くなった。
共産党統治に苦しめられた家族、もっと酷い目に遭う人がいる中国と戦うという著者。

中国共産党の愚策で家族を不幸に遭わされて、漫画を通じた表現で国外追放となった著者。著者が、中国共産党を憎み戦う理由は、母親の最後と今も虐げられる同胞の存在である。
これは我が隣国の危険な正体である。

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