「憲法51条免責特権の例外」

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(訴訟に臨む高須克弥医院長とホテルニューオータニの伊藤弁護士)

 

 

憲法51条免責特権の例外」

議会内で大西健介民進党議員の野次で「陳腐」と称した発言に対して、高須克弥院長は、党代表の蓮舫と大西民進党議員を相手に刑事事件における名誉毀損罪と、それに伴う損害賠償金1000万円を求めて争う姿勢だ。

このような場合、まず争点になるには、刑法240条の名誉毀損罪ではなく、上位規範である憲法51条の免責特権が問題となる。
結論を先に述べると、今回の発言は野次に該当し、憲法51条における「議院で行った演説、討議又は表決」に該当しない。この該当箇所は、国会の会期中の有無に関係なく、本会議、委員会、懇談会等だけでなく、地方公聴会まで含むと解されている。
他方で、職務行為と無関係の私語や野次は免責の対象とはなり得ない。
従って、今回の大西民進党議員の発言は、議会制民主主義を構成で担保すべき職務行為に資する発言とは無縁の野次であり、憲法51条免責特権の原則保障の例外に該当する。

憲法上の問題なく、訴訟可能なので、刑法240条の名誉毀損罪について検討すべきであるが、明確な発言がある。
この手の発言は241条の侮辱罪の類であるが、それよりも量刑の重い名誉毀損罪で臨む姿勢に原告の確固たる意思が感じられる。
同法240条の構成要件は、公然と事実を適示し、事実の有無に関わらず、である。この場合、公然とは、不特定多数の人々が認識し得る状態で、国民に向かって放送さている国会での発言なので当然に要件を満たす。その上で事実の有無として陳腐かどうかは一切問わないのである。つまり、被告である蓮舫及び大西民進党議員にとって極めて不利な状況である。ただ、警察は逮捕するかどうか不明で、しかも不逮捕特権のある議員について、検察が起訴するかどうかと極めて疑問は残るが、間違いなく、刑法240条名誉毀損罪の構成要件は満たしている。

なお、補足として、民事で名誉毀損罪による賠償責任は、相場は150〜250万程度なので、原告の高須克弥医院長の要求が満額通るとは到底思えない。

以上

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/13080581/